この秋見た多数の写真展の中で ①安斎重男展と ②杉本博司展は突出して印象的だった。
① 安斎が40年近くかけて撮り続けた内外のアーティスト達を対象とした作品が多摩美の図書館や美術館で数百点展示された。
ひとつの主題を撮り続けた氏の作品群がこんな形で一堂に展示されると、永年かけてこの仕事に一途に懸けた安斎重男の世界が見事にうき上がる。
数百人に及ぶアーティスト達のもつエネルギーと、かくも長きに渡ってそれを継続した安斎の執拗性が今や年代物のワインの様にたまらない香りを放つ。
② 杉本のここ数年の仕事はイメージを含んだ物質としての写真を氏の美学で並べ変えるという行為のように思う。宇宙から飛んで来た隕石や歴史の中の古美術や行為(能)など。氏の美学で並べ変えるという独創性(奇行)によって成立している。
安斎のアーティストドキュメントという写真の用い方が写真の属性の中に収まるのとは対照的に、杉本はタルボットのネガを高価な価格で自ら買い取り、オマージュ“タルボット”を創り出している。特殊な製作技法も発明家タルボットの遺産を相続している。
静岡県の三島からタクシーで3千円かけて入った山里の美術館(IZU Photo Museum)のオープニングで本人の説明を聞きながら作品を見ていると、彼の様な人物は日本の写真界からは2度と出ない異端者の様に思われ、私の抵抗感も消失していく。


