3/14/2009

島根県立美術館へ

"フランス絵画の19世紀"展を見た。

本展は大胆な企画で、19世紀の保守派のアカデミズム派と革新の印象派を真っ向から対峙させる事によって、作品観覧の新しい視座を示すものであった。

当時としては、批判されたクールベの裸婦の隣の壁面には、ボードリーやデュバル、あるいはカバネル達のローマ賞の画家の作品が掛かっている。

Gustave Courbet

自分でも驚いた事にクールベ(1858年)のこの裸婦が、
こんなに生々しくセクシーに見えるのだ。

アラーキー裸婦同様にMIDARAでさえある。

それに比較すると、デュバルやカバネルの裸婦はまさに新古典主義(ギリシャ美学+ローマ賞的技法)であり、前者のタッチの荒々しさと比較すると水をうった様に静謐なマチエールである。

しかも神話の世界に守られている。

本展を看る人は印象派テーマの闊達さと、色彩の自由奔放さに驚かされる反面、これと対象的なアカデミズム作家の、超習練された数々の技法に改めて驚かされるに違いない。

かつて、阿部良雄が「19世紀は絵画の偉大であった最後の時代」と私にいくつかの例を示してくれた事が思い出された。

しかしいずれにせよ、この世界不況の真最中、美術館の企画も経済的理由でぱっとしないのだが、本展は国外の40館の美術館から作品を集めて展示してあった。企画者の奮闘ぶりに脱帽!

Everiste-Vital LUMINAIS / Zeit-Foto Collection

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